山内のみどころ
油山寺の広い境内には、豊かな自然や由緒ある建造物、文化財など、たくさんのみどころがあります。境内をゆっくり散策してみませんか。


弘法大師ゆかりの霊木が、山門の前で参拝者を迎えます。枝葉は杉の木ですが真っすぐに伸びた幹は松の木という、二つの木が一つになった摩訶不思議な木です。自生している周囲の松や杉の木と、ぜひ見比べてみてください。

中国から日本にお茶を伝えたという栄西禅師。禅師の功績をたたえると共に静岡県の名産である茶業の繁栄を祈り、昭和25年(1950)に立像が建立されました。台座からの高さは約10メートル、国内の禅師像の中で最大級の大きさです。右手にお茶の製法と効能などを記した「喫茶養生記」(きっさようじょうき)を持ち、左手にお茶の種を持っています。5月と11月には禅師の功績を広く伝えるお茶まつりが開催されています。

ご信徒の休憩や法話の会場に使用される方丈は、250年以上前に建てられた歴史ある建物です。室内では、樹齢1000年のマキから作った大念珠や国の重要文化財に指定された山門の鯱鉾(しゃちほこ)など、数々の寺宝を見ることができます。

江戸時代中期に建てられ、当山に寄進された書院。静かに佇む姿に300年の長い月日を感じます。室内では、川村驥山(きざん)先生の書や維新三舟の書など、貴重な書を見ることができます。

礼拝門をくぐると、西側に六角堂があります。日本の書道界で活躍されていた佐藤祐豪先生と靄子(あいこ)ご夫妻から当山へ寄進されました。六角堂は宮大工の河原崎八栄氏が建立。日本美術展覧会の理事を務めた佐藤助雄(すけお)先生が、十一面観世音菩薩を制作しました。


近代の書道界の第一人者といわれる川村驥山先生の書「遺教経」(ゆいきょうぎょう)を刻んだ石柱門。遺教経はお釈迦様がご入滅される際、自身の入滅後に弟子たちが迷わぬように、修行者にとって大切なことを説いた最後の説法です。この教えが現代社会に広く伝わり、未来に引き継がれることを願い建立されました。
当山に広がる自然林は、一万年前の姿をとどめた大変貴重な森林です。谷川のせせらぎや野鳥の声が聞こえる山内は、鳥獣保護区に指定されリスやムササビ、三光鳥など多くの鳥獣が共存しています。静けさに心を休ませ、ゆっくりとお過ごしください。

るりの滝へ向かう道沿いにある観音堂。建久元年(1190)に京都の今熊野観音寺(いまくのかんのんじ)より観世音菩薩の御霊を迎え、おまつりしています。古来より、諸難退散や厄除けにご利益があると、広く信仰を集めています。

清々しい空気に満ちた、るりの滝。孝謙天皇が病の折、当山にて祈願を行い、この滝の水で御眼を洗ったところ病が完治したと伝えられています。滝の名前は、当山の本尊である薬師如来のお住まいである「瑠璃光浄土」が由来です。祠には、波切不動明王をおまつりしています。流れ落ちる水の音が参拝者を癒します。


山頂に静かに佇む三重塔。この塔は、源頼朝公より眼病平癒のお礼として薬師本堂と共に建立されました。安土桃山期の三名塔の一つに数えられ、国の重要文化財に指定されています。

山頂にある薬師本堂。堂内には、秘仏である本尊の薬師如来を納めた厨子と当山の守護神である軍善坊大権現をおまつりしています。本堂は、三重塔と共に源頼朝公から寄進されました。眼の守護や病の平癒、足腰の守護を願い、多くの人が訪れています。
金色に輝く厨子は、今川義元公より寄進されました。中には秘仏である本尊の薬師如来が安置されています。開山から1300年以上、すべての人の穏やかな暮らしを祈り、見守り続けています。

当山の専用駐車場のそば、油山寺公園の中の放生池におまつりしています。突然の事故や病などで、亡くなった幼子の魂を極楽へと導く慈悲深いお地蔵様です。